12月21日に放送されたNHK「日曜討論」において、立憲民主党の岡田克也衆院議員が、昨今の日中関係に関して「国民感情をしっかりとコントロールしていかないと」と発言しネット上で批判を浴びている。
中国に対して厳しく言ったということで、評価している人たちもいると。そういう国民感情をしっかりとコントロールしていかないと。日中双方そうなんですけれども、今のところ国民レベルで落ち着いていると思うんですね。かつては大使館が取り囲まれて、ペットボトルが投げ込まれるとか、工場や店舗が焼き討ちにあうとかいうことがありました。そういうことは今のところ起こってないと。日中双方に国民感情をコントロールできないような状態を作り出さないように。それは政治の責任で、まあしっかりやっていかなきゃいけない。煽るっていう行為は絶対にしてはいけないと思います。
以上の内容を端的に言えば、「中国との関係悪化を防ぐために政治家が国民感情をコントロールしないといけない」ということだ。
これは言うまでもなくおかしな発言だ。独裁国家の中国ならともかく、日本は(少なくとも形式上は)民主国家だ。国民が政治家をコントロールすることはあっても政治家が国民をコントロールしようなどという考えは批判されて当然だろう。
仮に政府関係者が「煽る」ようなことを行ったとしても、それを肯定するか、否定するかは国民が判断すべきことだ。自分がよくないと思う国民の反応を抑えたいなどという発想は民主主義の精神からかけ離れている。
岡田氏だけが持っているわけではない「国民感情をコントロールする」という考え
だが、こうした「外国との関係悪化を避けるために世論をコントロールするのはいいことだ」という考えは岡田氏だけが持っているわけではないはずだ。むしろ左翼政治家・言論人やマスメディアに広く浸透していると思う。
かつての尖閣諸島中国漁船衝突事件で当時の民主党政権(岡田氏も外務大臣を務めていた)は海上保安庁が撮影していた事件の映像を国民に公開しない姿勢を貫いていた。この判断は今回の岡田氏のいうような「中国との関係悪化を防ぐために国民感情をコントロール」する目的で行われたものだろう。
それどころか当時の民主党政権は自ら検察に指示して中国漁船の船長を不起訴・釈放したのに、「検察独自の判断でなされた」と嘘をついている。自分たちに対する国民感情もしっかりコントロールしようとしていたのだ。「国民感情をコントロール」などという発想は容易にこのような私利のための隠蔽・捏造につながると考えていいだろう。
同様に「国民感情をコントロール」しようとしてきたマスメディア
民主党政権だけでなくマスメディアも日中関係が悪化し中国で反日デモ・暴動が起こるたびに、「中国の国民は中国政府に対する鬱憤からこのような行動に出ているのであって、反日ではない」などという苦しい主張を述べる「専門家」のコメントを頻繁に流していた。
同様に韓国の反日ムーブメントなども規模にかかわらず報道しないケースが多々見られた。昨今では「報道しない自由」などと揶揄されて久しいが、こうした動きも「国民感情をコントロールする」目的で行われているのだろう。
政治家はもちろんだが、マスメディアもテレビであれば有限の電波。新聞であれば軽減税率。また両者とも独占して行政から情報を得ることができる記者クラブなど、数々の特権を有した多分に公共的な組織だ。そのようなマスメディアが「国民の感情をコントロール」しようなどという考えを持つことが許されるはずがない。