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今やすっかり騒がれなくなった昆虫食

一時期、マスメディアや政界、経済界等といった社会の上澄みの人々がやたらと持て囃し、広めようとしていた昆虫食だが、社会からの思わぬ猛反発に遭い今ではすっかり耳にしなくなった。

はっきり言って痛快だ。

メディア等が昆虫食を紹介するときは「昆虫食ブーム」「世界が注目」などというキャプションがつけられ、SDGsやサステナブルなどといった欧米リベラル的なワードとセットになっているのが常だった。

これまでもLGBT、脱炭素、ダイバーシティなど欧米リベラル的な要素を政財界とマスメディアが結託して日本社会に浸透させようとしてきたように思える。

こうした「意識高い系」エリートによる国民に対する「啓蒙」がこれまでは順調に進んできたようにみえたが、昆虫食の段になってついに人々からの反発に見舞われることになったわけだ。

そもそも、この「ブーム」自体がなんとも胡散臭い代物で、ブームと言ってはいるが一体世の中の誰が昆虫を食べたいなどと思っているのか私には分からなかった。身の回りで虫を食べたいという人間は一人も見たことがなく、虫を食べることが人々の間で流行っていると実感することもなかった。

ただ新聞テレビなどのメディアが「これからは昆虫食」などと吹聴し、一部企業がコオロギの粉が入った食品を販売し、一部省庁や自治体がコオロギ食を好意的に紹介したり、給食に採用したりしていたという記憶はある。

肝心の「昆虫を食べたい人」は見かけないのに、「昆虫を食べさせたい人」だけはやたらと見かけるという状況だ。

要するに「昆虫食ブーム」など、はなから存在せず、一部の人々が昆虫食をゴリ押ししていたというのが実態だろう。

現に昆虫食が社会から猛反発を受けた今となってはすっかりこの手の話を聞かなくなった。一時期、コオロギを食べたというツイートをしたために「コオロギ太郎」などというアダ名をつけられた河野太郎氏は「私も政府もコオロギ食の推進などしたことはない」などと逃げ口上のようなことを言い出す始末だ(農水省のサイトにコオロギ食を好意的に紹介したページがあったはずなのだが、これだけでは「推進」とは言えないという言い分なのだろうか)。

何にせよ、昆虫食のみならず昨今たびたび行われている政・財・マスメディアからの「上からの欧米リベラルの押し付け」に対して国民が手痛いカウンターパンチを食らわせたという事実はなんとも痛快だし、今後このような試みは必ずしも成功しないということを示した貴重な一例といえるだろう。

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時評