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逃げ場のない部屋で全身を120か所も刺され殺害された女子大生はなぜ死後に世間の誹謗中傷を受けたのか?大東市女子大生殺害事件のまとめ

2021年4月28日、大阪府大東市のマンションで21歳の大学生の女性が殺害される事件があった。

犯人は嘉本かもと さとる。当時48歳のビルメンテナンス会社に勤務する男であった。

犯人は女性を殺害後、すぐに自宅に放火し自殺。そのため詳しい動機はわかっていないものの、根拠のない被害妄想から犯行に至った可能性が高いとみられている。

本記事ではこの事件の情報をまとめたうえで、私の所見を述べたい。

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事件の概要

事件が起きたのは2021年4月28日6時55分頃。場所は大阪府大東市の5階建てマンション。

この2階に住む嘉元悟(当時48歳)が自宅のベランダからはしごを使い、窓ガラスを割って真上の部屋に住む大学4年生の吉岡桃七ももなさんの部屋に侵入。吉岡さんをバールや刃物で執拗に攻撃した末に殺害。

通行人が「お母さん、お母さん」と何度も泣き叫ぶ声を聞き警察に通報。その後3階ベランダから嘉元と思しき人物がはしごを下りる姿を目撃している。

駆けつけた四條畷署員が自室のベッド横でパジャマ姿で倒れ死亡している吉岡さんを発見。ベッド上には複数の刃物やバールが残されていた。

それとほぼ同時刻に、嘉元は自室に灯油を撒き放火し自殺。死因は急性一酸化炭素中毒だった。

大阪府警は同年8月12日に嘉元を殺人や現住建造物放火等の疑いで書類送検。20日に大阪地検は被疑者死亡により不起訴とした。

嘉元による放火直後の現場

犯行は極めて凄惨かつ執拗であり、被害者の直接の死因は後頭部の粉砕骨折と左太ももを刃物で切られたことによる失血死であったが、それ以外にも背面を中心に全身に120ヶ所以上の傷が残されていた。

嘉元はまずバールで吉岡さんの後頭部を殴打し、動けなくなったところを刃物で背後から繰り返し突き刺して殺害したとみられる。抵抗する際にできる防御創はほぼなかった。

玄関付近から居間、天井に至るまで血痕が残されていたことから嘉元は室内を逃げ回る吉岡さんを執拗に攻撃しつづけたとみられる。

嘉元は事前に吉岡さんの部屋の玄関ドアに外側からドアストッパーを挟み、それを接着剤で固定して室内から開けられないようにしていた。実際に室内は玄関周辺まで大量の血痕が付着しており、玄関から外に逃げようとした吉岡さんはドアを開けることが出来ず、室内を逃げ回った末に殺されたと考えられる。

嘉元はこれ以外にも凶器やはしご、灯油などを事前に用意しており、周到な計画のもと行われた犯行だった。

凶器の中には長さ約60cmほどの木の棒に刺身包丁をワイヤーで固定した手製の槍のようなものもあり、動けなくなった吉岡さんをこれで繰り返し突き刺して殺害したとみられる。

はっきりした言及はないものの、報道を見る限りでは嘉元が持ち込んだ凶器はバールと槍と包丁の3つであったと思われる。報道によれば、包丁は吉岡さんが抵抗する際に使用したと思われるとのことだ(槍を掴まれた時にもう片方の手で持って攻撃したのだろうか?)。(11)

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犯行の動機

被害者が「監視」「嫌がらせ」をしているという犯人の被害妄想が動機だった

事件後の現場マンション

嘉元の親族によれば、嘉元は生活音に敏感で度々不満を漏らしていたようである。現場のマンションは築26年の鉄骨造で1室約20平方メートルのワンルーム。家賃は4万円ほど(約3万とする報道もあり)であった。

当初は嘉元と吉岡さんに接点がなく、上下階の住人という繋がりのみであったことから、騒音トラブルが原因ではないかという憶測がメディアによってなされていた。

しかし警察が調べを進める中で、嘉元が2019年春に親族に「上の人に見張られている」「自分が歩くと上の人も自分に合わせて歩く」などと話していたことがわかった。

また事件から8年前に住んでいたアパートでは「隣人の気持ち悪さ」と題した日記を書いており、そこには入居初日の日付にもかかわらず「隣人に見張られている」「ユニットバスに入ると聞き耳を立てられる」などと書いていた。

こうしたことから嘉元が自らを監視していると考えた吉岡さんに恨みを募らせた末の犯行という見方が強まった。

警察が近隣住民や友人らに事情を聴いたが吉岡さんが常識を超えた騒音は出しておらず、嘉元を監視している事実もなかったと判断され、嘉元の一方的な被害妄想が動機と結論付けられた。

情報が出ていないうちから騒音が原因などと報じたメディアとネット上の誹謗中傷

被害者の吉岡桃七さん

事件が起きた当初は犯人が直後に自殺したため動機が不明だった。そのため上下階の住人同士という点だけをもって「騒音が原因なのではないか」とする報道が見られた。

また吉岡さんがSNSに上げた誕生日会の様子などを引用して、連日のように騒いでいた吉岡さんが階下の嘉元に殺されたのだとするネット上の中傷が相次いだ。中には吉岡さんの人格を否定するような文言もあったという。

その後の捜査で嘉元が「監視されている」という被害妄想を抱いていたことが分かると、騒音が原因という見方は消えていったが、現在でも騒音が原因という憶測に基づく記事はネット上に掲載され閲覧が可能となっている。

その一つが文春オンラインによる「「お母さーん!」女子大生がパジャマ姿で惨殺…“無口な48歳警備員”犯行の原因となった“騒音問題”」(16)という記事だが、この記事では嘉元に被害妄想があったことには言及されていない。

現場マンションの住民らの証言は騒音はあったというもの、なかったというものの2つに分かれている。騒音があったにせよなかったにせよ、私もこの事件は騒音ではなく被害妄想が原因ではないかと思っている、詳細は後述する。

騒音等の有無に関する関係者の証言

・「女子大生が入居したての頃、複数の男女で深夜までかなりうるさく騒いでいて、迷惑したことがありました。昨秋にも、お酒を飲んでいたのか大きな声が聞こえてきたことがあります」(近隣住民)(16

・「(略)…ベランダでバーベキューをしたり、たびたびパーティーを開催したり、青春を謳歌していたようです」(地元紙記者)(15)

・同じマンションに直前まで住んでいた男性は取材に、吉岡さん宅から騒音はしなかったとしている。(5)

・「たまに友人を呼んで、話し声が聞こえてきたことはありましたが、騒音というほどではありませんでしたよ。全然気になりませんでした」(近隣住民)(14

・「桃七は明るくて悪口を言わない子。ネットでは騒音があったと書かれていたが、そんな常識がない子じゃない」(吉岡さんの同級生)(7

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犯人の嘉本悟はどのような人物だったのか?

名前嘉元かもと さとる
年齢48歳(事件当時)
職業警備員。大阪府吹田市のビルメンテナンス会社に所属。

来歴

島根県出雲市出身。両親は嘉元が幼い頃に離婚。兄弟はおらず、祖母が亡くなってからは母親と2人暮らしだった。母親は介護の仕事をしながら女手一つで嘉元を育てていたという。

島根県立出雲農林高校の畜産科を卒業した後に地元の畜産試験場に就職したが長続きせず、ガソリンスタンドや運送会社などを転々としていたという。地元の知人は「無口でおとなしい性格だった」と口を揃える。

事件から8年前の2013年に大阪府内にいる親類を頼って拠点を実家から大阪に移していた。その後、大東市内の家具工場で配送ドライバーとして約5年間務めていたが、突然体調不良を訴えて退職。

また当初は現場マンションとは別のアパートに住んでいたが「道路族の騒音がうるさい」との理由で2015年6月に現場マンションに引っ越してきた。アパートの退去時には管理会社に「隣人から嫌がらせを受けている」などと告げていた。

事件の前年の2020年6月に当該ビルメンテナンス会社に入社。「一人で働く仕事がいい」として府内のビルで交代制の警備員をしていた。勤務は3日に1回ほどで主に夜勤だった。面接では「正社員として長く働きたい」「コツコツと取り組むことは得意です」と話していたという。担当者によると「無口で真面目な印象。仕事ぶりも几帳面で無遅刻無欠勤だった。トラブルはなかった」「親しい友人はおらず、プライベートのことは把握できていない」とのことだ。

監視、嫌がらせをされているという被害妄想

2019年春には親族に対して「上の人に見張られている」「自分が歩くと上の人も自分に合わせて歩く」「玄関の前で誰かに見張られている」「防犯カメラを設置しなければいけない」などと話していた。

また事件から8年前の2013年から住んでいたアパートにて「隣人の気持ち悪さ」と題した日記を書いており、そこには入居初日の日付にもかかわらず「隣人に見張られている」「ユニットバスに入ると聞き耳を立てられる」などと書かれていた。

またアパートからの退去時には管理会社に「隣人から嫌がらせを受けている」と告げている。

音に対する神経質さと人との接触を避ける性格

マンション4階の住人によれば夜に男の奇声や壁を叩く音が聞こえたという。

現場マンションで事件以前に嘉元の部屋の隣に住んでいたという男性(当時20)によれば、事件直前の2021年4月の上旬頃、夕方に突然、壁をドンドンと叩かれ、それが数時間にも渡った。数日後の深夜から朝にかけても同様の行為が繰り返された。当時は就寝中などで大きな物音を立てていなかったという。

これに恐怖を感じ警察に相談したところ「同じことがあればすぐ通報するように」と伝えられたという。隣人はその時に受けたアドバイスにより事件の1週間前に転居。

吉岡さんと同じ3階の部屋の住人がドアを開閉した音が聞こえた際にも嘉元の部屋から壁を叩き抗議するかのような音がしたという。また、廊下で嘉元とすれ違った際に挨拶しても無視されたという。

マンションの関係者(管理人と思われる)によれば、嘉元と出会っても目を合わさないようにパッと通り過ぎたり、嘉元の部屋の前を掃除しているとなかなか出てこないなど、会うことを避けるような素振りをしていたという。

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関係者

嘉元かもと さとる

今回の事件の犯人。事件当時48歳。府内のビルメンテナンス会社に所属し交代制の警備員をしていた。詳細は本記事内「犯人の嘉本悟はどのような人物だったのか?」にて詳述。

吉岡 桃七ももな さん

今回の事件の被害者。事件当時21歳。大阪産業大学の4年生でサッカー部のマネジャー。嘉元との接点はなかった。2018年から現場マンションに住んでいた。同じ大学に通う女性によれば「明るくて相手のことを考えられる子で、近隣トラブルも聞いたことがない」というが、周囲に「マンション内で怒鳴り声が聞こえて怖い」と話してもいた。

事件直前まで嘉元の隣に住んでいた男性(20)

事件直前の2021年4月上旬に就寝中であるにもかかわらず嘉元から数時間にわたり壁を叩かれる。これに恐怖を感じ現場マンションから退去。嘉元に挨拶を無視される。吉岡さんの部屋がうるさいことは今までなかったと証言している。

嘉元の勤務先

嘉元が事件の前年の2020年から所属していた大阪府吹田市に本社を置くビルメンテナンス会社。警察の聞き取りのほか、メディアの取材にも回答している。嘉元を巡るトラブルについては「知らない」とした。

嘉元の親族

警察の捜査に対して嘉元は数年前から生活音に敏感で、他の住人から監視されていると語っていたと述べた。

嘉元の母親

代理人弁護士によると「7、8年は連絡を取っていなかった。(事件を聞いて)驚いている」と話していた。

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時系列

2013年嘉元が大阪にいる親族を頼って地元島根から転居。引っ越したアパートでは入居初日から日記に「隣人に見張られている」「ユニットバスに入ると聞き耳を立てられる」などと記していた。
2016年春嘉元が現場マンションに入居。以前に住んでいたアパートは「道路族の騒音がうるさい」などとして退去していたが、退去時に管理会社に「隣人から嫌がらせを受けている」とも話していた。
2018年被害者の吉岡さんが現場マンションに入居
2019年春嘉元が親族に「上の階の住人に監視されている」「玄関の前で誰かに見張られている」などと話す。
2021年4月上旬・夕方頃嘉元の隣に住む住人が就寝中に数時間、壁をドンドンと叩かれる。数日後にも同様の被害に遭う。当該住人は警察に相談し、アドバイスを受けた結果現場マンションを退去する。
2021年4月上旬~事件前日嘉元が犯行に使う凶器等を近くのホームセンターで購入。
2021年4月26日嘉元がレンタカーを借り生まれ育った島根県に赴く。出雲市内の映画館で「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を鑑賞。
2021年4月28日・午前6時55分頃事件発生。嘉元が吉岡さんを殺害し、その直後自室に放火し自殺。
2021年8月12日大阪府警が嘉元を殺人、現住建造物放火等の疑いで容疑者死亡のまま書類送検。
2021年8月20日大阪地検は嘉元を容疑者死亡により不起訴処分とした。
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私見

原因は騒音か妄想か

事件後の現場マンション

私は当初から騒音が原因にしては犯行が凄惨すぎると感じていた。騒音が原因の殺人というのは事前に複数回住人同士の口論があったり、管理会社や警察に通報があったりと段階を踏むことが多い。また殺害の際にも口論から発展してとっさに家にあった包丁などで刺殺、といったケースが多いと感じる。

しかし今回の犯人は事前にこれといった兆候を見せずにいきなり強い殺意と計画性を持って犯行に及んだ。しかも被害者を刃物や鈍器で執拗に攻撃し続けている。こうした状況から犯人は統合失調症のような妄想癖のある人物なのではないかと思った。

そうした人物は殺す相手に異常なまでの憎悪と執着を持っていることが多く、段階を踏まずに突然に、そして執拗に攻撃を加えて殺すというケースもある。嘉元は事前に複数の凶器を用意したり、ドアストッパーで部屋を塞ぐなど確実に相手を殺せるよう準備をしている上、120か所も傷ができるほど執拗に攻撃し続けている。

騒音トラブルから殺人に発展することはあるが、ここまでの憎悪や執着を見せているケースは見たことがない。監視・嫌がらせをされているという常人には理解不能な理由からくる尋常ではない怒りが嘉元を突き動かしたのではないか。

確かに音が原因ではあったが騒音ではなく普通の生活音を「監視」「嫌がらせ」と捉えて一方的な恨みを募らせた結果起きた事件と見るべきだろう。

根拠のない憶測による報道と無責任なネット上の中傷を許してはいけない

この事件は犯人が動機を語ることなく自殺したため、どういう理由で事件が起きたのかが当初は判らなかった。その中で、被害者は犯人の上階の住人だったという点だけを見て「被害者の騒音が原因なのではないか」という報道を行うメディアが少なからず存在した。

そうした憶測をもとにした被害者への誹謗中傷もあった。私も当時のこの事件に関するヤフーコメントを見たことがあるが、被害者が騒音を出したものと決めつけて批判するような主張が多くの好評価を得ていたのを覚えている。

「死人に口なし」というように殺された人は釈明を行うことが出来ないのだから、メディアは死亡した被害者に不利になるような情報は慎重に扱うべきだし、そうしたメディアの情報を鵜呑みにして被害者への批判を行う者も強く非難されるべきであり、程度によっては処罰を与えられるべきだろう。

犯人が自殺し遺族からのコメントもないため事件の凄惨さに対して報道があっさりしすぎた

今回の事件について第一に思うのは事件の凄惨さに対して報道があっさりしすぎていたということだ。嘉元は犯行後すぐに自殺したため、通常の事件であれば取り調べや裁判などの段階でその都度なされる報道がされなかったためというのが大きいだろう。

犯人自身から動機等が語られなかったことに加え、嘉元の人間関係が非常に希薄であったことも大きい。職場に親しい友人はおらず、母親ですら7、8年連絡をとっていなかったという程だから、嘉元の近況や人となりについての証言は必然的に少なくならざるを得なかった。

それだけでなく、今回の事件は被害者の遺族によるコメント等を見かけない。おそらくメディアによる取材を断っているのだろう。事件当初に吉岡さんの騒音が原因ではないかとする憶測に基づいた報道がされたためかもしれない。この点も事件に関する報道を少なく感じる原因と思われる。

風化されるべきでない事件

この事件は今(2024年)から3年前のことであり、報道も一時的だったため多くの人はよく憶えていないのではないだろうか。しかし事件そのものや、その後に受けた中傷なども含めて非常にむごい事件であり、簡単に忘れ去られるべきではないと思う。

被害者の女子大生は、何の落ち度もないにもかかわらず、見ず知らずの精神異常者の一方的な憎悪に晒された結果、恐らく就寝中に突然窓ガラスを割って侵入してきた見知らぬ男に凶器で殴られ、刺され玄関から逃げようとしたものの何故かドアが開かず、わけもわからぬまま逃げ場のない部屋中を逃げ回り、最後には「お母さん、お母さん」と泣き叫んだ末に殺された。被害者の恐怖と苦痛、無念さは如何ばかりだろうか。

そのうえ薄弱な根拠をもとに被害者の騒音が原因などと報じるメディアやネットの中傷に遭い、死後も侮辱を受けたのだから遺族、関係者の悲しみは計り知れないだろう。

こうした中傷者は未だに罰を受けず謝罪もせずのうのうと暮らしている。このような理不尽がまかり通る社会でよいのか。

誰でも被害者になり得た

今回の事件で鍵となったのは生活音である。鉄骨造の現場マンションは鉄筋コンクリートのような防音性の高い住宅ではないためどうしても他人の生活音は聞こえてしまうだろう。

嘉元は生活音が自分を監視し、嫌がらせをしている音だと考えていたのだから、言ってしまえば誰もが被害者になり得たのが今回の事件だ。吉岡さんが被害者となったのは偶然に過ぎない。

隣人や近隣住民を選ぶことはできない。嘉元のような異常者が自分の身近に住んでいるかもしれないし、引っ越して来るかもしれない。そうなれば自分や自分の家族がこのような被害に遭うかもしれない。

誰もが殺される可能性があるのだから、本来であればこうした事件が起こらないよう誰もが対策を考える必要があるはずだが、この国ではそうした機運が生まれることはない。

精神異常者による犯罪を放置するべきではない

今回に限らず、日本では精神に問題を抱えていたと思われる人物による殺人事件が幾度も繰り返されている。

そしてこうした事件が起きるたびに世間は「被害者がかわいそう」「犯人は許せない」というような薄っぺらい反応をするだけ(場合によっては今回のような被害者叩きもある)で終わってしまい、すぐに忘れ去られる。そして同様の事件が繰り返される。

これでは駄目だ。今からでもこうした事件を二度と起こさないという意識で対策を講じていかなくてはいけない。

社会に潜む危険人物をどうするか

今回の事件は社会とほとんど繋がりを持たない者による犯行であったため、事前に兆候を掴むのは困難だっただろう。

今の時代は地域社会の存在感が乏しく、個人とそれを雇用している企業との関係もかつての終身雇用の時代に比べて弱くなっている。こうした社会の変化が孤立した個人による犯罪を起きやすくしている側面もあるだろう。

これからは地域社会や雇用している企業のかわりに、行政が個人の心の健康状態も含めて積極的に把握し、危険と判断されれば措置入院のような隔離を行える体制を強化する必要があると思う。

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参考資料

(1)読売新聞オンライン、【独自】「お母さん」悲鳴の後に…女子大生死亡、ベランダからハシゴで下りた男が殺害か、https://www.yomiuri.co.jp/national/20210429-OYT1T50094/

(2)読売新聞オンライン、女子大生殺害、隣人は恐怖感じ直前に引っ越し…事件の鍵握る「音」、https://www.yomiuri.co.jp/national/20210510-OYT1T50041/

(3)産経新聞、大阪の女子大生殺害 死亡の男、別の住人と騒音トラブル、https://www.sankei.com/article/20210430-YBIT5WLO55LX5CWCDVMQJSNKQ4/

(4)産経新聞、大阪の女子大生殺害 はしごの空き箱、灯油…階下の男、計画的犯行か、https://www.sankei.com/article/20210430-YEB3T26P6FJ2ZJEKD2LWWTXOOY/

(5)産経新聞、女子大生殺害 階下の男を殺人容疑で書類送検へ 大阪府警方針、https://www.sankei.com/article/20210504-AXUMIARXIVNW7E2VKZXRKIOW2U/

(6)産経新聞、女子大生の悲鳴「お母さん助けて」響いた理不尽すぎる殺人https://web.archive.org/web/20210606024124/https://www.sankei.com/article/20210605-SGTA335HGVKGLM43PZUJ57IXR4/

(7)産経新聞、女子大生殺害 被害者への誹謗中傷相次ぐ 騒音確認されず、https://web.archive.org/web/20210812124719/https://www.sankei.com/article/20210812-WJ7A6EV5KJK5DHVBM5U7AFBRK4/

(8)朝日新聞デジタル、凶器から男の指紋 殺人容疑で送検へ 大阪・大学生殺害、https://www.asahi.com/articles/ASP545SQGP54PTIL00M.html

(9)朝日新聞デジタル、女子大学生殺害容疑、死亡の会社員を書類送検 大阪府警、https://www.asahi.com/articles/ASP8D5WK9P8DPTIL010.html

(10)朝日新聞デジタル、大阪・女子大生殺害、死因は失血死 男は一酸化炭素中毒、https://www.asahi.com/articles/ASP4Z3RT8P4ZPTIL005.html

(11)朝日新聞デジタル、断たれた教師の夢 計画犯行か 大阪の大学生殺害1カ月、https://www.asahi.com/articles/ASP5X6RPRP5WPTIL01L.html

(12)日本経済新聞、死亡の階下の男を不起訴 大阪、女子大生殺害事件、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF20A3B0Q1A820C2000000/

(13)日本経済新聞、大阪の女子大生殺害、死亡男性に騒音トラブル 関連捜査、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF30DK00Q1A430C2000000/

(14)週刊女性PRIME、《大阪・大東市》階上の部屋に侵入し女子大生を殺害、容疑者が現場に残した“強い殺意”、https://www.jprime.jp/articles/-/20787

(15)週刊実話WEB、大阪マンション「女子大生殺害事件」自殺した容疑者が悩まされた“別の騒音”、https://weekly-jitsuwa.jp/archives/19395

(16)週刊文春オンライン、「お母さーん!」女子大生がパジャマ姿で惨殺…“無口な48歳警備員”犯行の原因となった“騒音問題”――2021年BEST5、https://bunshun.jp/articles/-/50960

(17)MBS、「監視されている」被害妄想での犯行か…女子大生殺害事件で『階下の男を書類送検』、https://web.archive.org/web/20210815135812/https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210812/GE00039672.shtml

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事件まとめ